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小さいおうち : タキちゃんに見事に裏切られました2014年01月26日 14:51

 今日の広島は、晴れたり曇ったり雨降ったと大変にぎやかな天気となっております。こんな日には、こんな落ち着いた映画を観るのがよいかもですよ。
【題名】
小さいおうち

【製作年】
2013年

【製作国】
日本

【鑑賞手段】
映画館

【おすすめ度】
超おすすめ!!

【あらすじ】
 東京郊外にあった少しモダンな三角屋根の家で女中として働いていた当時の思い出を大学ノートに書き記していくタキ(倍賞千恵子)。昭和11年、タキ(黒木華)は上京し、時子(松たか子)と雅樹(片岡孝太郎)の夫婦とその息子が暮らす平井家で働き始める。優しい時子やかわいらしい息子のいるその家での穏やかな暮らしは、一人の青年(吉岡秀隆)の出現により変化する。時子の気持ちが揺れ、恋愛事件の気配が漂う中、タキはある決断をする。タキの死後、このノートを読んだ親類の健史(妻夫木聡)は、遺品の中からタキが封じ込めた秘密に関わる手紙を見つける……。
あらすじの続きはこちらをクリック。 (MovieWalkerより引用)


【感想】
 この「小さいおうち」は、第143回直木賞に輝いた中島京子の同名ベストセラー小説を映画化した作品です。東京郊外に建つモダンな赤い三角屋根の小さな家で女中をしている布宮タキ役には、「舟を編む」の黒木華(昭和)と「男はつらいよ」シリーズの倍賞千恵子(平成)。タキが奉公に入った家の妻である平井時子役には、「夢売るふたり」の松たか子。時子の夫である平井雅樹役には、「終戦のエンペラー」の片岡孝太郎。雅樹の会社の部下で平井家に出入りするようになった板倉正治役には、「ALWAYS 三丁目の夕日'64」の吉岡秀隆。タキを祖母野ように慕っている健史役には、「清須会議」の妻夫木聡(平成)。監督は、「東京家族」の山田洋次。

 例のごとく原作を未読の私は、本作のことを”戦前戦中版家政婦は見た”的な作品だと思っていた。しかし、その思いは良い意味で裏切られ、とても奥深さを感じられる作品となっていました。でも、裏切られたのはそれだけではないのです。本作の主人公である女中のタキちゃんにも裏切られたのです。

 とにかく、あらすじが逸品でした。物語は、タキが東京に女中として働くきにいくところから始まります。彼女が働く家では、年の差はあるものの、当時としては理想に近い夫婦が暮らす家。しかし、その家庭は一人の男の出現によって大きく変わってしまうのです。そして、本作ではその過程が当時の時代背景と共に、とても丁寧に描かれていました。やがて大東亜戦争終盤に東京大空襲があり、その夫婦は死んでしまいます。そのことを自らの自叙伝に書き記した後、老齢のタキは泣き崩れてしまうのです。私はその時のタキの心情に関して、大好きだった奥様の死に対する悲しみと最後に想いを遂げられなかった奥様への同情だと考えておりました。ところがどっこい、最後に意外な結末を観る者は知らされることになるのです。これ以上は完全ネタバレになるので書けませんが、この展開は予想していなかっただけに驚かされました。しかも、そのことを墓場まで持って行ったタキ。それは、自分を傷つけないためではなく、残された遺族(特に健史に対して)を傷つけない配慮であると私は解釈しました。山田洋次は、上手いことやりますなぁ。

 そして、監督としても山田洋次は素晴らしい仕事をしてます。本作は、山田洋次にとって初の恋愛映画ということでも話題になっています。強烈なラブシーンに関しては、以前紹介した「男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく」でもありましたが、本作ではそのエロ度が違います。松たか子演じる平井時子が、何とも艶かしく撮られている場面があるんですよ。それは、着物の裾から覗く美しい足首、何ともエロかったなぁ。80歳を超える年齢での初挑戦、やっぱり山田洋次は只者ではありませんねぇ。

 演者の皆さんも、素晴らしい仕事をされていました。良い監督の下には、良い演者が集まるということでしょう。中でも良かったのが、主人公の女中タキを演じた黒木華。常に仕える家族のことを想い尽くす人間を見事に演じていたなぁ。しかも、何ともいえず可愛らしいわけです。だからこそ、そんな彼女の裏切りに対して観ている者は怒りを感じないのでしょう。とにかく、タキという役柄は、黒木華にとってはまり役でした。

 本題とは離れますが、個人的に強く印象に残ったことがります。それは、本作における戦争感です。各レビューを観ていると、反戦や現在の右傾化を危惧する旨を本作のメッセージとして感じられている方が多いような気がします。でも、私は少し違ったものを感じました。つまり、戦争に関してはとても中立な立場で撮られた気がするわけです。それは、平井夫婦の最後に関して語られているところです。東京大空襲で死んだ平井夫婦は、防空壕の中で抱き合って死んでいたわけです。皮肉な話ですが、戦争のおかげで二人は夫婦として死ねたのだ思いますよ。もし、戦争が起きなかったら、この”小さいおうち”に住む一家はもっと悲惨な結果になっていた可能性を感じました。

 また、右巻きの人たちからは何かと批判されることが多い山田洋次監督ですが、彼が本当に左巻きなのかと感じるところがありました。それは、戦後教育を受けている健史の歴史観と、タキの目を通して語られる当時の雰囲気がとても異なっているということなのです。つまり、あの暗黒の時代に対し、実はそんなに暗黒なだけではなかったんだよと描かれているのです。二・二六事件からの軍部の台頭、南京大虐殺、学徒出陣などを引き合いに出し、現在の歴史教育を強烈に批判しています。山田洋次を左巻きと批判する方は多いが、非常にバランスの取れた歴史観を持っているように感じたなぁ。

 このように「小さいおうち」は、観る者がタキちゃんの裏切りに見事に騙される意外なラブストーリーとなっております。しいていえば、最後の展開が早足だったのが残念ですが、それ以外は文句の付けようのないデキとなっております。では、本日はこの辺で |・)ω・)・ω・*)ノ【☆*゚+。βуё βуё。+゚*☆】 。


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★この映画の皆さんの評価★

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_ とりあえず、コメントです - 2014年01月26日 17:00

中島京子著の直木賞受賞作を山田洋次監督が映画化したドラマです。 原作は未読ですけど、オレンジ色のチラシを見ていたので、どんな作品だろうなと気になっていました。 タイトルから想像するよりも、もっと大人な雰囲気の愛と人生の物語でした。

_ 象のロケット - 2014年01月26日 23:07

大学生の健史は、大伯母のタキが大学ノートに綴る自叙伝を読むのを楽しみにしていた。 …60年前の昭和11年(1936年)、田舎娘のタキは、東京郊外の平井家の女中になる。 モダンな赤い三角屋根の小さな家では、玩具会社役員の雅樹と妻・時子、幼い息子・恭一が暮していた。 平井家をしばしば訪れる雅樹の部下・板倉と時子が心を通わせていくのを、タキはハラハラしながら見守っていた…。 女中だけが知っていた、秘密のラブ・ストーリー。

_ よくばりアンテナ - 2014年01月27日 15:19



山田洋次監督最新作。
公式HPはコチラ。
あ、なんと、私、山田洋次監督作品を劇場で観るの初めてだ・・・・(;゚∀゚)
いつも地上波で放送されてから見てるな。

原作の記事はコチラ。

今回は妻夫木聡くんは大伯母のタキさん(倍賞千恵子)の自叙伝の中へ導く役割で、
ダメブキじゃなかったよ〜(..◜ᴗ◝..)

しかし、昨夜のTVでやってた『東京家族』と同じ顔ぶれが次々...

_ Akira's VOICE - 2014年01月27日 18:05

この世は小さいおうちの集合体なんだな。
 

_ 映画@見取り八段 - 2014年01月27日 19:55

小さいおうち    監督: 山田洋次    出演: 松たか子、倍賞千恵子、吉岡秀隆、黒木華、妻夫木聡、片岡孝太郎、橋爪功、吉行和子、室井滋、木村文乃、夏川結衣、中嶋朋子、松金よね子、笹野高史、ラサール石井、林家正蔵、螢雪次朗、市川福太郎、秋山聡、あき竹城、…

_ ここなつ映画レビュー - 2014年01月28日 12:36

私にはとても染みる作品でした。染みるのは、「心に」だったり「記憶に」だったり「視覚に」だったりするのだけれど。生まれた時からサラリーマン家庭しか知らない私ですが、幼い時高度成長期の頃は、お正月になると父の会社関係の方々が沢山お年始に見えて、あのお正月なのに息を潜めて二階に居なければならない感じ、一日終わって夜も更けた中、煙草臭い家中の空気を入れ替えたりした記憶がお酒と煙草の匂いと共に思い出されます。母方の祖父母宅も毎年そんな感じだったし(玄関の上がり口に置かれたあの名刺入れ!懐かしい!)、乳母やお手伝いさんは当たり前にいました。もちろん専業主婦の普通の家庭で。私自身も住み込みではないけどお手…

_ to Heart - 2014年01月29日 19:13


製作年度 2013年
上映時間 136分
原作 中島京子 『小さいおうち』(文藝春秋刊)
脚本 山田洋次/平松恵美子
監督 山田洋次
音楽 久石譲
出演 松たか子/黒木華/片岡孝太郎/吉岡秀隆/妻夫木聡/倍賞千恵子/橋爪功/吉行和子
健史(妻夫木聡)の親類であった、タキ(倍賞千恵...

_ みはいる・BのB - 2014年01月31日 22:28




☆☆☆☆☆ (10段階評価で 10)
1月25日(土) 109シネマズHAT神戸 シアター9にて 16:05の回を鑑賞。

_ 佐藤秀の徒然幻視録 - 2014年02月01日 22:47

公式サイト。中島京子原作、山田洋次監督。松たか子、黒木華、片岡孝太郎、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子、橋爪功、吉行和子、室井滋、中嶋朋子、林家正蔵、ラサール石井、あき ...

_ 事務職員へのこの1冊 - 2014年02月01日 22:56

原作はミステリ的色彩が濃いものだった。それは…… ・主人公である山形出身の女中、

_ あーうぃ だにぇっと - 2014年02月02日 07:08

小さいおうち@歌舞伎座

_ こねたみっくす - 2014年02月02日 10:54

小さいおうち。それはタキちゃんが守りたかった大切な時間。
第143回直木賞を受賞した中島京子先生の原作を山田洋次監督が映画化したこの作品は、「さすが名匠!」と言わんばかり ...

_ 昼寝の時間 - 2014年02月02日 19:57

2014年 日本 136分  公式サイト 原作:中島京子「小さいおうち」(文春文

_ 京の昼寝〜♪ - 2014年02月04日 08:15



□作品オフィシャルサイト 「小さいおうち」□監督 山田洋次□脚本 山田洋次、平松恵美子□原作 中島京子□キャスト 松 たか子、黒木 華、片岡孝太郎、吉岡秀隆、妻夫木 聡、倍賞千恵子■鑑賞日 1月25日(土)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★...

_ 映画的・絵画的・音楽的 - 2014年02月04日 20:51

 『小さいおうち』を、吉祥寺バウスシアターで見ました。

(1)山田洋次監督の新作ということで映画館に行ってきました(注1)。

 本作は、中島京子氏が直木賞(2010年上期)を受賞した同名の小説(文春文庫)に基づくもの。
 戦前の山の手(注2)の丘の上に建てられた...

_ 映画雑記・COLOR of CINEMA - 2014年02月07日 21:52

2010年・第143回直木賞を受賞した中島京子の同名小説を山田洋次監督が映画化『小さいおうち』(脚本・山田洋次、平松恵美子)。音楽・久石譲物語・健史(妻夫木聡)の大伯母で、先日亡くなったばかりのタキ(

_ お楽しみはココからだ~ 映画をもっと楽しむ方法 - 2014年02月12日 23:22

2014年・日本/松竹=住友商事=テレビ朝日他配給:松竹 監督:山田洋次原作:中島京子脚本:山田洋次、平松恵美子撮影:近森眞史音楽:久石譲名匠・山田洋次の82作目となる監督作で、第143回直木賞を受賞

_ 帰ってきた二次元に愛をこめて☆ - 2014年02月13日 22:01



大げさな出来事や奇抜な仕掛けで驚かす映画ではない。淡々と日常を描きながら、その輪郭は鋭い線で描かれている。そして何気ない積み重ねが、後に大きな出来事になっていく。このあたりの上手さは山田洋次監督らしい。

小道具も周辺の町や人の作り方も、隅々まで神経が行き届いている。

タキと健史、老婆と性急な大学生との対比が、まず上手い。実際にその時代を肌で感じて来た者のいう事を、若者は自...

_ 映画のブログ - 2014年02月17日 04:26

 【ネタバレ注意】

 山田洋次監督の『小さいおうち』を鑑賞して、こんなことがあるのかと驚いた。
 本作は中島京子氏の小説に基づいて山田洋次監督と平松恵美子氏が脚本を書き、山田洋次監督みずからメガホンを取った作品だ。決して山田洋次監督のオリジナル企画ではない。
 にもかかわらず、山田洋次監督と原作のシンクロぶりはどうだろう。私はこれが山田洋次監督のオリジナル作品と云われたら信じたに違...

_ オールマイティにコメンテート - 2014年02月22日 21:03

「小さいおうち」は中島京子原作の作品を山田洋次監督で映画化した作品で、田舎から都会に出てきた女性が女中としてある小さなおうちに奉公し、そこで起きた出来事を亡くなる直前 ...

_ はらやんの映画徒然草 - 2014年02月22日 22:23

こちらの作品は観る予定ではなかったのですが、出演している黒木華さんがベルリン映画

_ ケントのたそがれ劇場 - 2014年02月27日 11:20

★★★★ 製作:2013年 日本 上映時間:136分 監督:山田洋次  直木賞作家中島京子の小説を、山田洋次監督によって映画化された作品である。 まだ太平洋戦争前の昭和11年のお話である。当時ではモダンな創りの赤い三角屋根の小さな屋敷。そこに住むおもちゃ会

_ こみち - 2015年03月22日 14:05

JUGEMテーマ:邦画 



 

 昭和初期の不倫を扱ったちょっと暗い感じのする映画でした。

 

見ているだけでちょっと滅入ってしまうのが難点ですね。

 

暗い時代が舞台なので当たり前かもしれませんが

 

もう少し華やかな部分があっても良かったのではと思いました。

 

昔の時代の『失楽園』といった感じでしょう。

 

 

 

 ストーリーは良く出来ていますし、映像も美しい。

 

映画観で見逃して映画を見れて良かったと思います。

 

 

 

2014年 松竹

 

 

キャスト

  平井時子・・・・・・・・松たか子

 布宮タキ(晩年期)・・・倍賞千恵子

 布宮タキ(青年期)・・・黒木華

 平井雅樹・・・・・・・・片岡孝太郎

 板倉正治・・・・・・・・吉岡秀隆

 荒井健史・・・・・・・・妻夫木聡

 小中先・・・・・・・・・橋爪功

 小中夫人・・・・・・・・吉行和子

 貞子・・・・・・・・・・室井滋

 松岡睦子・・・・・・・・中嶋朋子

 柳社長・・・・・・・・・ラサール石井

 カネ・・・・・・・・・・あき竹城

 花輪和夫・・・・・・・・笹野高史

 花輪の叔母・・・・・・・松金よね子

 

 

 

公式サイト



 



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